rTMS療法

rTMS療法

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rTMS療法とは

概要

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法は、パルス磁場による誘導電流で特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病によるうつ症状を改善させる治療法です。

治療方法

  • 当センターでは入院での治療を実施しております。
  • TMSでは専用のコイルを頭にあてて、頭部にパルス磁場をかけて実施します。
  • rTMS療法に関わる講習を受けた日本精神神経学会認定の専門医により、1日約20分、週5日を3~8週(最大30回)のクールで治療を行います。
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法

対象者

以下に挙げる項目に合致する方がrTMS療法の対象となります。精神科専門医による判断が必要となります。

  1. 18歳以上
  2. うつ病(大うつ病性障害)の診断を受けていること(双極性障害は適応外になります)
  3. 抗うつ薬による適切な薬物療法で十分な改善が得られないこと
  4. 中等症以上の抑うつ症状を示していること

※上記の項目を満たしても、当センター担当医師が適応外と判断した場合は、rTMS療法をお断りすることや、途中で終了することがあります。

当センターでrTMS療法を希望する場合

当センター通院中の方

主治医へrTMS療法希望についてお伝えください。
主治医とrTMS療法担当精神科専門医との間で適応について判断します。

他院に通院中の方

一般初診にて適応の判断をいたします。

一般初診のご予約はこちら
なお、ご受診の際は、一般初診でお持ちいただくものに加えて、rTMSの質問票(pdf)にもご記載の上、当日お持ちください。
(参考)一般初診でお持ちいただくもの

      • 健康保険証及び各種医療証等
      • お薬手帳
      • 紹介状

※保険証につきましては、マイナンバーを保険証として活用できます。

rTMS療法について詳しくお知りになりたい方へ

日本でrTMS療法を受ける方法

現状において、日本の精神科医療においてrTMS療法を受けるには主に以下の4通りの方法があります。

  1. 保険医療によるrTMS療法:
    うつ病患者さんが対象となり、当センターでも実施しています。自己負担額は、3割負担とすると1セッションあたり6,000円となりますが、総セッション回数、入院期間などによって自己負担の総計は異なりますので、入院の際にご相談下さい。また、高額療養費制度の対象となります(但し、食事代、差額ベッド代などは保険適応外となります)。
    なお、保険医療でrTMS療法を提供している医療機関の一覧は以下のサイトもご覧ください。
    日本精神神経学会(こちらのサイト内の医療連携申告書提出施設リストからご確認いただけます。)
  2. 臨床研究におけるrTMS:
    大学病院などの医療機関において行われる臨床研究に協力する形で参加します。上述の先進医療Bと同様に、自己負担額はありませんがシャム刺激を受ける可能性があります。倫理審査委員会の承認を受ければ、うつ病以外の精神疾患に対してrTMS研究を実施することが許可されます。また、治療的介入の研究になるため、臨床研究法に基づいた特定臨床研究に該当する場合が多いです。当センターでは現在rTMSの臨床研究は実施しておりません。
    国内の臨床研究の情報は以下のサイトより検索することが出来ます。
    UMIN臨床試験登録システム
  3. 自由診療によるrTMS:
    対象は医療機関によってばらつきがあり、多くの場合診療所で行われています。自己負担額も様々ですが、高額な場合が多いです。諸般の都合によって自由診療を検討する場合には、事前に以下の点などを確認しておかれることを強くお勧めいたします。
    また、rTMSの自由診療に関連して、日本精神神経学会より以下のような注意喚起がなされましたので、ご参照下さい。
    rTMS(反復経頭蓋磁気刺激装置)の適正使用について【注意喚起】2020年9月19日 
  • rTMS療法に使用される機器が日本での承認を受けた機器であるかどうか?
  • 保険で承認された刺激量、刺激強度、刺激方法が守られているか?
  • 最終的な自己負担額がいくらになるのか?
  • 精神科専門医が常駐しており、rTMS療法に限らずうつ病治療全体の相談に乗ってくれているか?
  • rTMS療法を実施する医師やスタッフ全員が日本精神神経学会が主催する講習会と企業が主催する講習会の2つを受講しているのかどうか?
  • 適性使用指針にあるrTMS療法の対象基準を検討しているか?うつ状態なら何にでも効く、光トポグラフィーなどの検査をすればrTMS療法の適応が分かる、などといったエビデンスの歪曲がないかどうか?
  • 適性使用指針にあるrTMS療法の有効性や副作用、禁忌事項を正確に把握できているかどうか?
    有効性が誇張され、副作用や禁忌事項が軽視される場合には注意が必要です。
  • 適正使用指針にあるrTMS療法の適応外について認識できているかどうか?
  • 副作用としてのけいれん発作が起こった際の対応や医療連携体制がどうなっているのか?
  • うつ病の病状悪化によって入院の必要性が生じた際に医療連携体制があるのかどうか?

治療的位置づけ

図4の縦軸は抑うつ症状の重症度を示しており、横軸は急性期から維持療法期までの病期を示しています。薬物療法(青色)はもっとも広い守備範囲を示しており、第一選択の治療となります。しかし、薬物療法に十分反応しない患者さんが約3割いると言われておりますし、多剤併用や適応外使用の課題も指摘されています。最重症例の急性期に限定して実施されるのが修正型電気けいれん療法(mECT、赤色)です。mECTは自殺を抑止する効果も強力で、人命救助的位置付けとなります。維持療法期(軽症例では亜急性期も)を中心に活躍するのが、認知行動療法(CBT)やリワークなどの社会復帰リハビリテーション(紫色)です。このようなうつ病医療の現状を考えると、mECTを実施するほど重症ではないが、CBTやリワークを継続することが難しい(亜)急性期の患者群(緑色)がrTMS療法の位置付けと推測されます。また、顕著な副作用によって薬物療法を十分に実施できない症例に対する治療選択肢としてもrTMS療法は有意義であります。このように、rTMS療法が薬物療法やmECTを補完しながら、維持療法期への移行を促進する手段の一つになり得るだろうと期待されます。ご自身の病状に対してどのような治療選択肢が必要となるのか、担当医師とよくご相談下さい。

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法

rTMS対象外になる事項について

  1. 絶対禁忌(原則としてrTMS療法を実施ができません)
    刺激部位に近接する金属(人口内耳、磁性体クリップ、深部脳刺激・迷走神経刺激などの刺激装着)ペースメーカーを有する患者。
  2. 相対禁忌(一般病院・総合病院では実施できる可能性があります)
    刺激部位に近接しない金属、頭蓋内のチタン製品、あるいは磁力装着する義歯・インプラントを有する患者。
    てんかん・けいれん発作の既往、けいれん発作のリスクのある頭蓋内病変、けいれん発作の閾値を低下させる薬物の服用、アルコール・カフェイン・覚せい剤の乱用・離脱時、妊娠中、重篤な身体疾患を合併する場合。

rTMS療法の効果と安全性

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法は、パルス磁場による誘導電流(渦電流)で特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病によるうつ症状を改善させる治療法です。抗うつ薬による治療を継続しながら、rTMS療法を追加することが可能です。保険診療では、rTMS療法に関する講習を受けた日本精神神経学会認定の専門医の指示のもと、1日約20分、週5日、3週から8週間(最大30回)にわたるrTMS実施(治療クール)が認められています。

rTMS療法を受けることで、すべてのうつ病が改善するわけではありませんし、効き方には個人差があります。世界で報告された臨床試験の結果をまとめて整理すると、以下のことが言えます。

rTMS療法の抗うつ効果の程度は、おおむね抗うつ薬による治療効果と同等と考えられますが、電気けいれん療法による抗うつ効果には及びません。うつ病患者さんの約3割は抗うつ薬治療に反応しないと言われており、そのうちの3~4割がrTMS療法に反応しています(文献2)。つまり、抗うつ薬が効かない患者さんの6~7割はrTMS療法にも反応していないことはご留意下さい。rTMS療法によって、病前に近い寛解レベルまで回復する割合は2~3割と言われています。再発率に関するデータは十分ありませんが、rTMS療法が有効であった患者さんの6~12ヶ月における再発率は1~3割と推定されています。

以上のように、抗うつ薬によって十分な効果が得られない患者さんの3~4割が安全性の高いrTMS療法によって抗うつ薬と同等の治療効果を示すことに一定の意義はあります。しかし、誰もが恩恵を受けるような万能な治療ではないことを事前に知った上で同意して頂く必要性があります。rTMS療法に反応しない場合には、次の治療オプションについて担当医師と話し合うこととなります。

rTMS療法の副作用について

  1. 頻度の高い副作用:
    頭皮痛・刺激痛(30%前後)、顔面の不快感(30%前後)、頸部痛・肩こり(10%前後)、頭痛(10%未満)。ほとんどが刺激中に限定した副作用で、刺激強度を下げたり、慣れの効果によって、軽減されます。刺激が終わってからも違和感が残存したり、頭痛を惹起することがあります。
  2. 重篤な副作用:
    けいれん発作(0.1%未満)、失神(頻度不明)。頻度は高くありませんが、最も重症な副作用としてけいれん発作が挙げられます。けいれん発作そのものは自然に終息しますが、けいれん発作に起因する外傷や嘔吐物誤嚥などの危険性が想定されます。
    これまでのrTMSに起因する全てのけいれん誘発事例の報告の中で、けいれんを繰り返す症例や、てんかんを新たに発症した症例は一例も報告されていません。また、抗うつ薬によるけいれん誘発の危険率(0.1~0.6%)と比較してもrTMS療法が特別にけいれん誘発のリスクが高い訳ではございません。
  3. その他の副作用(頻度小):
    聴力低下、耳鳴りの増悪、めまいの増悪、急性の精神症状変化(躁転など)、認知機能変化、局所熱傷など。聴力を保護するために刺激中は耳栓を着用して頂きます。治療を要する躁転のリスクは1%弱と報告されています。

以上より、rTMS療法の安全性や忍容性は、電気けいれん療法や抗うつ薬治療に比べても優れていると言えます。ただし、外来治療としてrTMS療法を受ける場合には3~8週間にわたって通院しなければならず、頻繁な通院にともなう負担が生じることを事前にご検討下さい。

よくある質問

  • 入院はどのような環境になりますか?

    当院ストレスケア病棟となります。
    ストレスケア病棟

  • 精神科に通院していません。rTMS療法は受けられますか?

    対象外となります。
    現在、精神科や心療内科で治療を継続しており、下記の方がrTMS療法の対象となります。
    ①18歳以上
    ②うつ病(大うつ病性障害)の診断を受けていること(双極性障害は適応外になります)
    ③抗うつ薬による適切な薬物療法で十分な改善が得られないこと
    ④中等症以上の抑うつ症状を示していること

  • 入院期間はどのくらいですか?

    入院期間は、病状にもよりますが1.5~2ヶ月程度となります。

  • 外来でも治療はできますか?

    現在は、主に入院環境下での治療提供を行っていますが、今後は外来通院でのrTMS療法も進めて参ります。保険診療で認められているプロトコールは、1回あたり約20分、週5日、3週間から8週間と定めています。うつ病に苦しむ方にとって、連日の外来通院は相当な負担となることが予想されますが、通院をサポートする体制がある方、入院できない事情のある方は、外来通院でのrTMS療法もご検討ください。