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反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法は、パルス磁場による誘導電流で特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病によるうつ症状を改善させる治療法です。
以下に挙げる項目に合致する方がrTMS療法の対象となります。精神科専門医による判断が必要となります。
※上記の項目を満たしても、当センター担当医師が適応外と判断した場合は、rTMS療法をお断りすることや、途中で終了することがあります。
主治医へrTMS療法希望についてお伝えください。
主治医とrTMS療法担当精神科専門医との間で適応について判断します。
STEP1 ご相談
かかりつけ主治医に当センターでのrTMS療法希望についてご相談ください。
STEP2 郵送
下記の書類を当センターまで郵送ください。
郵送先:神奈川県立精神医療センター 福祉医療相談科 ストレスケア病棟担当宛て
STEP3 適応の判断(1回目)
①②の書類をもとに、適応について判断いたします。
STEP4 外来診察にて適応の判断(2回目)
当センター医師の診察を受けて頂き、治療の適応有無について、有効性や安全性の観点から判断します。必要に応じて、薬物療法の調整や詳しい検査(脳波検査頭部MRI検査など)を実施する可能性があります。
STEP5 入院日の調整
ベッドの準備ができ次第、当センターよりご連絡いたします。
現状において、日本の精神科医療においてrTMS療法を受けるには主に以下の4通りの方法があります。
図4の縦軸は抑うつ症状の重症度を示しており、横軸は急性期から維持療法期までの病期を示しています。薬物療法(青色)はもっとも広い守備範囲を示しており、第一選択の治療となります。しかし、薬物療法に十分反応しない患者さんが約3割いると言われておりますし、多剤併用や適応外使用の課題も指摘されています。最重症例の急性期に限定して実施されるのが修正型電気けいれん療法(mECT、赤色)です。mECTは自殺を抑止する効果も強力で、人命救助的位置付けとなります。維持療法期(軽症例では亜急性期も)を中心に活躍するのが、認知行動療法(CBT)やリワークなどの社会復帰リハビリテーション(紫色)です。このようなうつ病医療の現状を考えると、mECTを実施するほど重症ではないが、CBTやリワークを継続することが難しい(亜)急性期の患者群(緑色)がrTMS療法の位置付けと推測されます。また、顕著な副作用によって薬物療法を十分に実施できない症例に対する治療選択肢としてもrTMS療法は有意義であります。このように、rTMS療法が薬物療法やmECTを補完しながら、維持療法期への移行を促進する手段の一つになり得るだろうと期待されます。ご自身の病状に対してどのような治療選択肢が必要となるのか、担当医師とよくご相談下さい。
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法は、パルス磁場による誘導電流(渦電流)で特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病によるうつ症状を改善させる治療法です。抗うつ薬による治療を継続しながら、rTMS療法を追加することが可能です。保険診療では、rTMS療法に関する講習を受けた日本精神神経学会認定の専門医の指示のもと、1日40分、週5日、3週から6週間にわたるrTMS実施(治療クール)が認められています。
rTMS療法を受けることで、すべてのうつ病が改善するわけではありませんし、効き方には個人差があります。世界で報告された臨床試験の結果をまとめて整理すると、以下のことが言えます。
rTMS療法の抗うつ効果の程度は、おおむね抗うつ薬による治療効果と同等と考えられますが、電気けいれん療法による抗うつ効果には及びません。うつ病患者さんの約3割は抗うつ薬治療に反応しないと言われており(文献1)、そのうちの3~4割がrTMS療法に反応しています(文献2)。つまり、抗うつ薬が効かない患者さんの6~7割はrTMS療法にも反応していないことはご留意下さい。rTMS療法によって、病前に近い寛解レベルまで回復する割合は2~3割と言われています。再発率に関するデータは十分ありませんが、rTMS療法が有効であった患者さんの6~12ヶ月における再発率は1~3割と推定されています(文献2)。
以上のように、抗うつ薬によって十分な効果が得られない患者さんの3~4割が安全性の高いrTMS療法によって抗うつ薬と同等の治療効果を示すことに一定の意義はあります。しかし、誰もが恩恵を受けるような万能な治療ではないことを事前に知った上で同意して頂く必要性があります。rTMS療法に反応しない場合には、次の治療オプションについて担当医師と話し合うこととなります。
以上より、rTMS療法の安全性や忍容性は、電気けいれん療法や抗うつ薬治療に比べても優れていると言えます。ただし、外来治療としてrTMS療法を受ける場合には4~6週間にわたって週5日程度通院しなければならず、頻繁な通院にともなう負担が生じることを事前にご検討下さい。
書類を送ってからどのくらい治療までかかりますか?
必要書類(情報提供書、質問票)が当センターに到着してから、適応判断(1回目)の返答については2週間程度いただいております。
当センターでは、治療体制を整えるようチームで努めておりますが、受け入れ人数が限られているために治療開始(入院)まで数か月いただいている状況です。
※お申込みいただいた時点での待機人数、当センターのベッド状況で待機期間は変動します。初診の際に入院までのめどについては医師に確認ください。
入院はどのような環境になりますか?
当院ストレスケア病棟となります。
ストレスケア病棟
精神科に通院していません。rTMS療法は受けられますか?
対象外となります。
現在、精神科や心療内科で治療を継続しており、下記の方がrTMS療法の対象となります。
①18歳以上
②うつ病(大うつ病性障害)の診断を受けていること(双極性障害は適応外になります)
③抗うつ薬による適切な薬物療法で十分な改善が得られないこと
④中等症以上の抑うつ症状を示していること
入院期間はどのくらいですか?
入院期間は、病状にもよりますが1.5~2ヶ月程度となります。
rTMSを希望しています。どうしたら良いですか?
必要書類(①情報提供書 ②質問票)を当センターまでご郵送ください。
当センターでrTMS療法を希望する場合
外来でも治療はできますか?
現在は、主に入院環境下での治療提供を行っていますが、今後は外来通院でのrTMS療法も進めて参ります。保険診療で認められているプロトコールは、1回あたり約40分、週5日、3週間から6週間と定めています。うつ病に苦しむ方にとって、連日の外来通院は相当な負担となることが予想されますが、通院をサポートする体制がある方、入院できない事情のある方は、外来通院でのrTMS療法もご検討ください。
専門治療