修正型通電療法(m-ECT)

修正型通電療法(m-ECT)

修正型通電療法(m-ECT)

ECT(Electro Convulsive Therapy)は、通電し脳を電気的に刺激することによって脳内に発作を誘発し、切迫した精神的なあるいは感情的な障害を改善する治療法です。診療報酬点数表には、精神科電気けいれん療法という名称で記載されていますが、全身のけいれんを起こすことはありません。全身麻酔によって完全に眠っている間に、麻酔科医と協力して、精神科医と看護師によって施行しますので、修正型(modified)を付け、m-ECTと呼んでいます。

当院では、クリニカルパスを用いて手順を定式化し、熟練したスタッフがm-ECTを実施しております。以下の手順に沿って、一人の方に1回の治療で、通常は週に2回ずつ、およそ8~12回施行されます。なかには最大の治療効果を得るために、12回を超えて施行される場合もあります。令和2年度は660件、令和元年度は583件の実施の実績があります。

  • 前日午後9時以降は、食べたり飲んだりせずに準備する。
  • 着替え、静脈から点滴をし、治療室のベッドに仰向けに横たわる。
  • 麻酔薬で眠り、筋肉を弛緩させる薬、マスクで純酸素を投与する
  • 頭皮上に数秒間、電流を流し、脳内に発作を1~2分誘発する。
  • 回復用のベッドに移り、約20分間覚醒を確認後、自室へ戻る。

m-ECTは全身麻酔によって施行される治療の中でも最も安全なものの1つです。死亡あるいは重度の障害の危険は5万回に1回程度であり、出産に伴う危険よりもはるかに低いと報告されています。極めて稀に発生する死亡事故は、通常心血管系の合併症によるものです。

m-ECTを受けた方が覚醒した直後に混乱することがありますが、これはおおむね1時間以内に治まります。ごく最近起きた出来事の記憶が損なわれることや、日付・友人の名前・社会的な出来事・住所および電話番号などが思い出せないこともあります。大抵は、こうした記憶障害は数日から数週間の間に治まりますが、非常にまれに施行後の数カ月から数年間にわたって記憶力の低下した感覚が持続する方もおられます。

平成14年に認可された定電流短パルス矩形波刺激装置(サイマトロン®)は、通電量をデジタルに調整でき、そのような記憶障害の発生を防いだり、最小限に抑えたりすることができますが、当院では原則この刺激装置を用いています。そうでない刺激装置を選択する際には担当医が相談することになります。もちろん、知的能力(IQ)あるいは記憶力に与えるm-ECTの長期的な影響はこれまで認められておりません。

この治療を受ける多くの方は、m-ECTの治療コース終了後に十分な治療効果が得られますが、必ず特効的な効果があるとお約束することはできません。他のすべての治療でもいえることですが、短期間に回復する方もいれば、少しずつ回復する方もいますし、まったく効果が見られない方もいないわけではありません。すっかり回復したにもかかわらず、症状が再燃することもあります。

この治療にかかる費用ですが、1回につき、3000点に相当する金額に保険が適用されます。

修正型通電療法(m-ECT)の転院相談

その他

ご希望の方は説明書を一読の上、必要書類を添付して連携サポートセンター宛てにメール又はFAXをして下さい。

宛先

  • 神奈川県立精神医療センター 連携サポートセンター 地域連携・訪問支援科 担当者
  • メール:kpc_psc@kanagawa-psyc.jp
  • FAX:045-822-0270(地域連携・訪問支援科直通)