地域連携とは、患者さんが病院だけでなく、地域の関連機関や地域の様々な職種の方とつながりを持つことを言います。例えば訪問看護やヘルパーといった精神保健福祉サービスは一般的かもしれませんし、障害福祉や作業所、就労支援のサービス事業所などもあります。未成年の患者さんですと、母子保健や児童福祉、学校などの連携や、高齢の患者さんですとデイサービス、地域包括支援センターもあります。依存症の患者さんですと自助グループや回復施設などもそうでしょう。すでに使われている方もいるでしょうし、主治医や家族から勧められ悩んでいる方もいるかもしれません。
しかし、そもそもなぜ、地域連携が必要なのでしょうか。「病院以外に相談先があると安心ではないですか」、「家で一人だと心配です」などと言われたことがあるかもしれません。勿論正しいですが、一番大事なことは、連携そのものがとても治療的であるからなのです。横のつながりを増やすこと、色々な人と関わること、見守られることで独りではないという感覚を持つこと、それはひいてはセルフケアにつながりさらなる回復に繋がると信じているからです。
精神科の病気は様々ありますが、人とのつながりという視点から捉えると、例えば横のつながりがやせ細っていたり、つながりはあるけれど少なかったり、あるいはガチガチに固まって身動きがとれなくなっていたり、さらには思い切って飛び立ったけれどうまく着地ができない、ということもあるでしょう。共通することは、どれも内に閉じていて孤独であること、つながることが難しいからこそどんどん身動きがとれなくなり、再出発ができなくて苦しんでいる、ということです。どうしたら再出発できるのか、それには他人とのつながりが不可欠だと考えているのです。病院ではそのような思いで私たちは対話を重ねています。
もちろん、ただつながればいいわけではありません。少しでもそのつながりに癒しの効果がなければ長く続きませんし、まだ病院外のつながりを持つ段階ではない方もいるかもしれません。しかし私たちはそのようなことを考えながら、患者さんに勧めています。病院との繋がりをより外に開かれたものとして広げていくこと、横のつながりを深めゆっくりと社会と折り合いをつけていくこと、それを一緒に考えていくことが精神科の治療であるし、その礎として地域連携があると考えています。
医長 小森 宏樹